交通事故の解決までの流れは?弁護士に相談するベストなタイミングとは?

この記事の監修者

弁護士 山田 洋斗

弁護士法人サリュ千葉事務所 所長弁護士
千葉県弁護士会所属
明治大学法科大学院卒業

【獲得した画期的判決】
・2021年8月 自保ジャーナル2091号114頁に掲載(交通事故事件)
・2022年 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(赤い本)105頁に掲載
【交通事故解決件数】
1000件以上(2023年2月時点)

目次

交通事故の解決までの流れとは

交通事故に遭った瞬間、損傷を受けた車両を目の当たりにしてショックを受けると同時に、ケガが生じていれば通院、賠償手続きの不安等、何もかもが心配になるでしょう。

以下では、交通事故後、どのように賠償手続きが進んでいくのかを解説いたします。

ポイントは、どのタイミングで損害額が確定するのかということです。この損害額の確定は、主に物件損害と人身損害の2つ分けて検討することになります。

・物件損害の賠償手続きの流れ

事故の時に乗っていた車両が損傷を受けた場合(物件損害の発生)、その後は以下のように手続きが進んでいきます。

まず、車両の損害確認、見積もりをします。

自動車の場合は、事故車を修理工場にレッカー等で運び、修理工場で損傷箇所の撮影、修理箇所の特定、必要な部品、工賃等を見積もります。

なお、修理費>(車両時価額+買い替え諸費用)の場合、修理費の請求をすることは原則としてできません。高い修理費をかけて修理するより同種同等のものを市場から調達した方が安く済むからです。

修理に着手すると、そこから大体1、2週間で修理は完了し、車が手元に戻ってきます。

その間、代車が必要になれば代車費用が追加で発生します。

車が修理から戻ってくると、

・レッカー費用

・車の修理費

・代車費用

の合計金額が確定し、示談ができるようになります。

過失や、修理費、格落ち損(評価損)等に争いがなく、スムーズに示談が進めば、車両に関する損害については事故後1か月から2か月以内に終わることが多いです。

なお、例えば時計、携帯電話、パソコンなど、その他の物件損害が発生している場合も基本的には写真撮影や修理見積もりをしたうえで保険会社に賠償請求することになります。

・人身損害の賠償手続きの流れ

次に、人身損害の手続きの流れを説明します。

上の図のように、事故後はケガがあれば、まずは治療をします。この治療が終わらない限り、基本的には示談ができません。これは、治療費、交通費、休業損害、慰謝料等の損害項目は、治療期間中に生じたものを賠償の対象とするためです。治療が終わらない限り、これらの損害額を確定することができないのです。

そして、交通事故でむちうちや打撲等になった場合、完治までに3か月〜6か月ほどの治療期間を要します。無事に完治すれば、最終治療日までの治療費、慰謝料等を計算し、示談することになります。

ただし、治療をしても完治せず、後遺障害が残る場合があります。

後遺障害の残った場合の手続きの流れは以下のとおりです。

むちうちなどの怪我であっても、頚部痛や腰部痛、シビレ等が残存することはよくあり、残った痛みに対する賠償をどうしていくのかが問題になります。

このように、これ以上治療をしても改善効果がみられない状態を「症状固定」といいます。むちうちの場合、人によって異なりますが、だいたい事故から6が月程度が症状固定の判断時期と言われています。そして、症状固定となれば、後遺障害申請の準備に入ります。

痛みが残っている以上、被害者からすれば完治するまで永遠に治療費を払って欲しいところですが、治療をしても改善効果がないのであれば、治療をすることが無意味になってしまいます。

不必要な治療費を裁判所は加害者に払わせることはしません。公平の理念に反するからです。

むち打ちの場合、6か月経っても痛みやシビレが残っているのであれば、症状固定として、残った症状については後遺障害認定を受け、後遺障害に関する賠償を受けましょう、ということになります。

後遺障害申請の際には、後遺障害診断書や、治療期間中の診断書、診療報酬明細書が必要になります。これらの資料は、症状固定後1か月程度で集まることが一般的です。

また、後遺障害申請後、認定結果が出るまでに1か月〜2か月かかります。

もちろん、認定までの期間はケガの内容によって異なります。自賠責保険調査事務所が、医療調査が必要と判断すれば、医療機関に照会書を送ることがあります。このような自賠責側の調査が入れば、認定までの期間は長引きます。

認定結果が出れば、その結果を踏まえて、示談交渉に入ります。

ただし、認定結果に不満がある場合で、異議申し立て手続きをとりたいというような場合には、さらに時間がかかります。

異議申し立てに必要な書類を集める時間も要しますし、異議申し立て自体、申し立ててから結果が出るのに3か月〜6か月はかかります。

認定結果に納得がいき、後遺障害の内容、等級が確定したら、いよいよ示談交渉にはいります。

交渉期間は、金額やケガにもよりますが、1か月〜3か月が多いです。

ただ、案件によっては、6か月以上の交渉となることも珍しくありません。これは、たとえば保険会社が「医療記録を取り寄せて検討したい」と申し出てきた場合や、顧問医に相談する、顧問弁護士に相談する、といって検討時間が長期にわたることがあるためです。

逆に、争点が少ない案件ほど、早く示談も終わります。私の経験でも、賠償請求からわずか2週間で示談が成立したこともあります。

示談成立後は、入金手続きに入ります。

これは単なる事務手続きですので、それほど時間はかかりません。保険会社側の事情にもよりますが、示談書の取り交わしから2週間〜1か月で入金となることが一般的です。

以上が賠償手続きの大きな流れですが、その期間はケガの内容、争点の有無、内容、保険会社側の事情や対応によってかなり幅があることはお分かりいただけたかと思います。

ところで、いざ弁護士に交通事故の解決を相談・依頼しようとしたとき、どのタイミングが良いのでしょうか?

・弁護士に相談するベストなタイミングとは?

交通事故に遭って賠償請求をする場合、出来るだけ多くの金額を早く回収したいと考えることが普通です。

しかし、上記で説明したとおり、交通事故の賠償手続きは、争点が多ければ多いほど、解決までにかかる時間も長くなります。

つまり、争点を出来るだけ減らしていくことが適切かつ迅速な賠償金の獲得につながるのです。

そのためには、早期に弁護士に相談することが重要です。

なぜなら、争点を生じさせず、かつ、十分な賠償を得られる方法を早期にアドバイスしてもらうことができるからです。

私は、交通事故の相談を多く受けてきましたが、相談を受けた時点で、すでに相手保険会社に弱みを握られ、賠償交渉が不利になっている状況をかなり多くみてきました。

弁護士に相談=依頼

というわけではありません。

最近は、無料法律相談を実施している法律事務所も多くなってきました。

そのため、交通事故に精通した弁護士に早期に相談することをおすすめします。

・弁護士にはどのタイミングで依頼すべき?

交通事故に遭った場合、慰謝料の増額交渉や過失割合の交渉等、弁護士をいれるメリットは多岐にわたります。

弁護士に過失割合の交渉を任せた方がいい2つの理由

交通事故を弁護士に依頼する最大のメリットとは?

もっとも、弁護士に依頼すれば、当然弁護士費用もかかります。

費用の問題を度外視すれば、できるだけ早期に弁護士に依頼する方が弁護士をフル活用できます。

弁護士費用特約があれば、多くの場合は弁護士費用を自己負担することなく弁護士に依頼することができます。そのため、弁護士費用特約に加入している方は、費用倒れを気にすることなく、早い段階で弁護士に依頼すると良いでしょう。

弁護士費用特約とは?

弁護士費用特約がない場合には、被害者が弁護士費用を負担することになるため、回収できる賠償金を検討する必要があります。

交通事故に精通している弁護士であれば、過失割合や治療期間、後遺障害の有無等によって、相手方から回収できそうなおおよその金額を把握することができますので、ひとまず弁護士に相談してみるのがよいと思われます。

サリュでは、弁護士費用特約のない方であっても相談を無料でお受けしております。

早く弁護士をいれたいけれど、費用倒れになるのかどうか気になる方は、サリュの無料相談をご利用ください。

なお、交通事故を弁護士に依頼した場合に費用倒れになるかどうかの判断方法については以下の記事をご覧ください。

弁護士への依頼が費用倒れになるかどうかはどうやって判断したらいい?

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この記事の監修者

弁護士 山田洋斗
弁護士法人サリュ千葉事務所所長弁護士。2015年から2020年まで交通事故発生件数全国最多の愛知県において多くの交通事故案件を扱い、これまで1000件以上(2023年2月時点)の交通事故案件を解決に導いてきた。2020年6月から地元の千葉県において千葉事務所所長弁護士に就任。日々、千葉県で交通事故被害に悩んでいる被害者の救済に尽力している。

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