全ての治療が終わると(後遺障害が残った方は、後遺障害認定まで受けると)、被害者の損害賠償額が確定するため、間もなく、相手方保険会社から損害賠償金の案内がきます。
今回は、相手方保険会社からきた損害賠償金の案内をどのように見れば良いのか、適切な賠償金の提示がされているのかを確認する方法を解説します。
賠償金の算出方法とは?
そもそも、損害賠償金は、どのように算出されるのでしょうか。
ざっくりとした説明になりますが、
①被害者にいくらの損害が発生しているのか
②その損害額を加害者がどの割合で負担するのか(過失相殺)
③相手方保険会社から既に支払われている額はいくらか
を確認します。
そのうえで、相手方保険会社が追加で支払う賠償金を算出します。
治療終了後や、後遺障害認定を受けた後に相手方保険会社から被害者に提示される損害賠償金は、上記の思考過程を経て被害者に伝えられます。
過失割合が気になる方は、そこばかり注目しがちですが、そもそもいくらの損害を認定するのかという点も重要です。
妥当な治療期間か
損害額を決める上で重要な点は、被害者の治療期間をいつからいつまでにするのかという点です。
治療費も、慰謝料も、休業損害も、基本的に事故日から治療終了日(症状固定日)までの期間に生じたものだけが賠償の対象になります。
ここで問題となるのは、いつの時点を治療終了日(症状固定日)にするのかという点です。
保険会社が、被害者が完治するまで期間の治療費を全額対応してくれていれば、この治療終了日はあまり問題とはなりません。
しかし、保険会社が治療の途中であるにもかかわらず治療費の対応を打ち切ったような場合には、いつまでを治療期間とするのか(いつを症状固定日とするのか)が争点となりやすいです。
保険会社は、治療費の対応を打ち切った時点を治療終了日(症状固定日)と主張しますし、被害者としては保険会社が治療費の対応を打ち切った日以降も治療が必要であったと主張したいところでしょう。
ここで、症状固定日とは、一般的には医学上一般的な治療を施したとしても改善することがなくなった時点のことを指します。
逆にいうと、保険会社が打ち切った時点であっても症状に改善傾向がある場合や、他の適切な治療方法があり、それを試す余地があるのであれば、症状固定とはいえないということになります。
被害者の中には、保険会社に言われるがまま保険会社が考える治療期間を前提に示談に応じてしまう方もいます。
もし、保険会社が治療費の対応を打ち切った後も自費で治療を続けており、それが医学上必要な治療といえるのであれば、立て替えた治療費も保険会社に請求してみましょう。
なお、自賠責保険の枠(上限120万円)が残っていれば、相手方任意保険会社から回収できなくても、自賠法16条の請求(被害者請求)により自賠責保険から立て替えた治療費を回収できる可能性があります。このあたりの解説については、少し難しくなるので弁護士への相談をおすすめいたします。
各損害項目に漏れがないか
治療期間に誤りがないことを確認したら、次は損害項目に漏れがないか、確認しましょう。以下では、一般的な傷害・後遺障害事案を前提に、発生する可能性のある損害項目を挙げます。死亡事故の損害項目については
死亡事故の遺族の方へ。被害者遺族がもらえる賠償項目とは?弁護士に依頼するメリットとは?
のページをご覧ください。
治療期間中の損害項目
・治療費
・交通費
・付添費用、介護費用
・学生の学習費(習い事を休んだ場合など)
・休業損害
・通院慰謝料
・その他雑費 入院雑費等
自賠責保険から後遺障害認定を受けていれば、以下の項目も検討しましょう。
症状固定後(後遺障害)の損害項目
・後遺障害診断書作成料、後遺障害に関する検査費用
・後遺障害慰謝料
・後遺障害逸失利益
・将来治療費
・将来介護費用
・自宅改造費用、車両改造費用(重度後遺障害の場合)
弁護士を入れて大きく変わるのは慰謝料と逸失利益
損害項目を確認したら、次はそれぞれの項目が適切に算出されているのかを確認しましょう。
特に慰謝料(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料)は、弁護士基準(裁判基準)で算出することで大幅な増額が期待できる項目です。
また、後遺障害逸失利益についても、基礎収入が適切に算出されているか、労働能力喪失期間が制限されていないか、労働能力喪失率が低く見積もられていないか、適切に判断する必要があります。
このあたりは、多くの専門知識を要するため、一度弁護士に相談することをおすすめします。
過失割合が妥当か
損害項目を確認したら、被害者に生じた総損害額が算出されます。
総損害額は、100万なのか、1000万なのか、人によって大きく異なります。同じ14級でも100万円以上損害額が異なるケースは少なくありません。
そして、さらに賠償額を大きく左右するのが、過失割合です。
0:10なのか、1:9なのか、2:8なのか・・・
損害額が大きくなればなるほど、過失割合が1割違うだけで賠償額は大きく変わります。
そのため、過失割合についても妥当な割合になっているのかどうか、精査する必要があります。
過失割合については、実務上「別冊判例タイムズ38」というものを用いることが一般的です。これは裁判所も使用するもので、事故類型ごとに大まかな過失割合が記載されています。
保険会社はこの判例タイムズに則って過失割合を算定しますので、妥当な過失割合を算出できていることもあります。しかし、型にはめすぎることで、硬直的・機械的な算定になり、個別の事案によっては不適切な過失割合になっていることも多くあります。
私の経験した事例でも、適切な立証をすることで45:55の過失割合から5:95に劇的に割合が変わったケースもあります。
過失割合を大幅に変更させ、当初提示額の4倍の4200万円で示談した高次脳機能障害の事例
過失割合に納得できない場合には、弁護士に相談してみましょう。
支払額に納得できない時は
いかがでしょうか。賠償金算定の過程には、多くの専門知識が必要となることがお分かりいただけたかと思います。保険会社の担当者は賠償手続きのプロですので、うまく言いくるめられて、被害者が不当な賠償金で示談書にサインをしているケースが跡を絶ちません。
賠償金の算定が不当なのかどうか、増額の可能性があるのかどうか、無料の法律相談でお伝えします。
また、ご事案によっては、増額しない限り弁護士費用をいただかないという完全成功報酬制でご依頼を受けることも可能です。
まずは、無料法律相談をご利用ください。
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