後遺障害の異議申し立てとは?メリットとデメリットを解説!

交通事故後に一生懸命治療をしたものの、完治せずに何らかの症状が残存してしまう方がいます。その場合、後遺障害の申請手続きをして後遺障害認定を受けることができれば、残った症状に対する賠償を受けることができます。

しかし、

「症状が残っているのに後遺障害認定を受けられなかった」

「後遺障害認定を受けることができたものの、納得いく等級を得られなかった」

というケースもあります。

その場合、被害者としてはどのように対応すればいいでしょうか?

今回は後遺障害の異議申し立て手続きについて解説します。

この記事の監修者

弁護士 山田 洋斗

弁護士法人サリュ千葉事務所 所長弁護士
千葉県弁護士会所属
明治大学法科大学院卒業

【獲得した画期的判決】
・2021年8月 自保ジャーナル2091号114頁に掲載(交通事故事件)
・2022年 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(赤い本)105頁に掲載
【交通事故解決件数】
1000件以上(2023年2月時点)

目次

後遺障害認定における異議申し立てとは?

自賠責保険の後遺障害認定手続きでは、後遺障害の認定結果に納得できない場合、再度申請をかけることができます。

これを一般的に「異議申し立て手続き」といいます。

自賠責保険の損害調査事務所が一回目の後遺障害認定結果の妥当性を再度判断し、もし、不当であると判断した場合には一回目の判断を覆して等級認定をします。

異議申し立て手続きに期間制限はありません(もっとも、請求権自体は3年で時効により消滅します)し、費用もかかりません。

異議申し立てのメリットとは?

異議申し立ての最大のメリットは、いうまでもなく後遺障害等級の変更です。非該当の判断だったのが14級という等級に変わったり、14級の等級が12級になったりと、等級が変更されることがあります。

等級が変更されると自賠責保険から追加で賠償金が振り込まれます。また、相手方保険会社からもらえる賠償金も劇的に増加します。

事案によって異なりますが、等級が変更されない場合にくらべて数倍の賠償金になることもあります。

異議申し立てのデメリットとは?

認定結果が出るまでに時間がかかる

まず、一番のデメリットは異議申し立てをしてから認定結果が出るまでに相当な時間がかかるという点です。事案によりますが、3か月から半年程度は覚悟しましょう。損害調査事務所が医療機関に照会をする場合や、上部機関の審査が必要となる場合は結果が出るまでに半年以上かかることもあります。

追加の調査に協力しないといけない場合も

自賠責保険が適正妥当な認定をするために、医療機関などに医療照会などを行う場合があります。この時、被害者は同意書の提出を求められることがあります。

同意するか否かは被害者の判断ですが、不同意とすると損害調査事務所は十分な調査ができず、初回認定が維持されてしまうこともあります。逆に、不同意としても認定結果に影響を与えないこともあります。

等級が下がることはある?

例えば初回申請により14級の認定を獲得し、12級を目指して異議申し立てをしたものの、逆に非該当になってしまったというように、異議申し立てにより初回認定時の等級が不利益に変更されることはあるでしょうか。

自賠責保険では、初回の等級を覆して被害者に有利に変更することはあっても、不利益に変更することはしません。そのため、異議申し立てで等級が下がってしまうのでは?という心配は不要です。

お金はかかる?

異議申し立て自体にはお金はかかりません。

ただし、例えば弁護士に依頼している方は追加の弁護士費用がかかったり、異議申し立ての際に追加資料(カルテ、医師の意見書)を取得する場合、その実費が発生したりすることはあります。

異議申し立てをすべきか否かの判断はどのようにしたらいい?

初回の認定が妥当なものかどうかは、どのように判断したらいいでしょうか。

この点は、ある程度後遺障害認定手続きに精通している弁護士に相談するといいでしょう。

・どのような資料があれば等級が変わりうるのか、

・初回請求はどの点に不備があったのか、

かなり専門的かつ医学的な判断が求められます。

そのため、ご自身で異議申し立てをするか否かを判断することは、判断を誤る可能性もあるためおすすめできません。

まずは、交通事故に精通している弁護士に相談しましょう。

後遺障害等級が変更される可能性はどれくらい?

異議申し立てで認定が覆る可能性はどれくらいあるでしょうか。

私の経験上、等級が覆るのは異議申し立てをした案件のうち、1割程度です。

かなり、高いハードルです。

しかし、そもそも初回申請時に申請書類の形式的不備が原因で非該当や不当な等級になっている場合もあり、一概に等級の変更が難しいとはいえません。

被害者の症状、検査状況、申請書類、事故態様など、様々な事情が後遺障害等級の認定結果に影響を与えますので、異議申し立てにより等級が変更される可能性がどれくらいあるのかという点は、交通事故に精通している弁護士に相談することが有益でしょう。

異議申し立てのコツとは?

初回に提出した資料がなんだったのか、追加で提出すべき資料は何が考えられるか、それを提出すれば、等級判断にどのような影響を与えるのか、

この辺りを吟味して、異議申し立て書にまとめることが重要です。

獲得を狙う後遺障害等級にもよりますが、全ての等級で重要となる視点は以下の通りです。

・医療記録(画像などの検査関係資料、診断書、医師の所見が書かれた書面)が不足していないか?

・後遺障害診断書の記載が正しいか?

・症状固定後の事情で主張すべき点はないか?

・事故態様の大きさなどをしっかり伝えられているか?

事案により主張すべきポイントは異なりますので、現在お持ちの資料を、交通事故を多く扱っている弁護士に見せてみて、アドバイスをもらってみましょう。

異議申し立てにより等級の変更に成功した事例

非該当から異議申し立てにより14級の認定を獲得したむち打ちの事例

非該当から異議申し立てにより12級の認定を獲得した橈骨骨折の事例

顧問医の医学的な指摘により、14級から12級の等級アップに成功した脛骨高原骨折の事例

その他の解決事例はこちらから

異議申し立てをしても等級が変わらなかったら?

異議申し立てをしても等級が変わらなかった場合、被害者は諦めないといけないでしょうか?

後遺障害の等級をさらに争うためには、以下の3つの方法があります。

再異議申し立てをする

異議申し立てには回数制限はありません。そのため、認定を覆すことのできる新しい証拠が出てきた場合には、再度異議申し立てをして審査してもらうことが可能です。ただし、新しい証拠を添付しない場合には結果が変わることはほとんどないでしょう。

紛争処理申請をする

一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構(以下では「紛争処理機構」といいます。)という機関があります。これは自賠責保険損害調査事務所の認定結果が妥当なのかどうかを判断する期間です。紛争処理機構が、自賠責保険損害調査事務所の認定結果を不当として変更した場合、自賠責保険はその認定結果にしたがって、賠償金を支払うことになります。

裁判所で争う

裁判所で後遺障害等級を判断してもらうことも可能です。裁判所は第一次的には自賠責保険損害調査事務所の判断を尊重する傾向がありますので、裁判所が自賠責の認定結果を変更することはあまりありませんが、裁判所で提出される証拠は膨大ですから、自賠責の認定結果を覆す証拠が出て来れば、裁判所も自由な心証により等級を変更することがあります。

ただし、裁判となると、加害者側も等級結果を争う場合があり、自賠責保険で認定された後遺障害等級が下がってしまうこともしばしばあります。

千葉県の自賠責保険損害調査事務所

千葉県の損害調査事務所は以下のとおりです。

千葉自賠責損害調査事務所

〒260-0027
千葉県千葉市中央区新田町1-1 IMI未来ビル3階

TEL 043-375-5230

ご自身の後遺障害認定の結果に疑問があれば、交通事故を多く扱っている弁護士に一度相談してみましょう。

弁護士法人サリュ千葉事務所のサービス対応地域

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この記事の監修者

弁護士 山田洋斗
弁護士法人サリュ千葉事務所所長弁護士。2015年から2020年まで交通事故発生件数全国最多の愛知県において多くの交通事故案件を扱い、これまで1000件以上(2023年2月時点)の交通事故案件を解決に導いてきた。2020年6月から地元の千葉県において千葉事務所所長弁護士に就任。日々、千葉県で交通事故被害に悩んでいる被害者の救済に尽力している。

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