交通事故に遭い治療が必要な状況になると、働くことができなくなり、収入が途絶えてしまう方が少なくありません。
軽症であればすぐに仕事復帰もできますが、複数箇所の骨折があったり、脳挫傷や脊髄損傷などの重傷となった場合には、長期の休業を余儀なくされます。
その時、1番不安になることは、今後の生活のことでしょう。
「家賃の支払いをどうしよう」
「生活費をどうやって工面しよう」
このような不安を解消するために、以下では被害者の方が、治療中に一部の賠償金を回収できる方法を解説します。
任意保険会社へ休業損害を請求する
まずは、休業損害を保険会社に請求しましょう。
通常は、「休業損害証明書」を会社に記載してもらい、これを保険会社に提出します。用紙は保険会社が送ってくれることが多いです。
「休業損害証明書」は通常は事故前3か月の収入状況、事故後の給料の支払い状況、欠勤日、欠勤日数などを記載することになります。
もっとも、休業損害を受領するためには、事故当時就労しており、一定の収入を得ていること、事故により休業する必要性があることが条件となります。
そのため、収入状況が不明であったり、休業損害証明書に不備がある場合は保険会社に休業損害の支払いを拒まれてしまうこともあります。
慰謝料等、休業損害以外の内払い請求
何らかの理由で保険会社から休業損害の支払いを拒絶された場合は、慰謝料などの休業損害以外の賠償金を一部請求しましょう。
たとえば、骨折等の重傷で1か月入院した場合は、弁護士基準で53万円の慰謝料が発生しますし、通院しただけでも28万円の慰謝料が発生します。
そのため、もし相手方保険会社から休業損害の支払いを拒絶されている場合は、現時点で発生している慰謝料を請求することも有益です。
自賠責保険への仮渡金の請求
通常は、被害者が骨折等それなりに大きなケガを負った場合で、加害者が賠償義務を負うことが明らかな場合は、治療中でも保険会社が一定の賠償金の支払いに応じるケースがほとんどです。
しかし、まれに、保険会社が休業損害も慰謝料も支払わないというケースがあります。
その場合、自賠責保険の仮渡金制度を利用することが可能です。
自賠責保険では、以下のように仮渡金の支払いに応じています。
自賠責保険の仮払いは、請求から1週間~3週間程度で支払われますが、額に限界があり、生活を守るためには不足する場合もあります。
自賠責保険への被害者請求
次に採り得る手段が、自賠責保険への被害者請求(本請求)です。
被害者は、1か月でも通院をすれば、本請求として、自賠責保険に被害者請求(自賠法16条請求)をすることが可能です。
そのため、すでに事故後、複数月入通院しており、自賠責保険基準で賠償金を計算してもそれなりの賠償金になる場合は、この被害者請求をしてもいいでしょう。
もっとも、被害者請求をするためには自賠責保険書式の診断書や診療報酬明細書の提出が必要であるため、この作成・取得に要する期間を考慮する必要があります。
人身傷害保険、労災保険、健康保険を使う
自動車保険を契約されている方の場合、同時に人身傷害保険を附帯している場合があります。人身傷害保険は、自動車事故によって傷害を負った場合に、一定の要件を満たすことで休業損害や慰謝料などが支払われる保険です。自らが契約している保険会社は、相手方の保険会社と異なり親身に対応してくれる場合がありますので、契約している保険会社に相談して、一定額の支払いを請求してみることも有益です。
また、交通事故が業務中の事故である場合や、通勤災害といった場合、労災保険の休業補償給付の申請をしてみるという手段もあります。審査や書類を整えるのに時間がかかる場合もありますが、治療中に休業損害の一部を回収できますので、有効な手段といえます。
さらに、プライベートの事故で怪我をした場合でも、 4日以上仕事を休んでいる場合には、健康保険の傷病手当金の申請をするという手段もあります。支給までに1、2ヶ月かかりますが、こちらも申請をすることで一定額が支払われる可能性があります。
裁判所への仮払い仮処分の申立て
保険会社から休業損害や慰謝料等の支払いを拒絶された場合、もっとも強力な手段が裁判所の仮払い仮処分の制度を利用することです。
裁判所から、仮払い命令を出してもらうことで相手方保険会社に一定額の賠償金の支払いを強制させることが可能になります。
仮払い仮処分の申立てをすると、最短で3、4週間ほどで支払い命令がでます。
もっとも、仮払い命令が出るためには①被保全権利の存在と②保全の必要性を疎明しなければいけません。
①被保全権利とは、仮払い命令によって守られるべき権利の存在です。交通事故で怪我をした方の場合、交通事故によって人身損害について損害賠償請求権を有しているといえますから、この権利の存在を説明する必要があります。また、休業損害や慰謝料がいくら発生しているのかも、主張や疎明が必要になります。
仮払い仮処分の申立をする場合には、交通事故に強い弁護士に依頼して早急に動くことが合理的でしょう。
いかがでしょうか。交通事故に遭うと、痛みなどでつらい思いをするだけでなく、保険会社側の対応に苦労し、二次的な被害を被る方も多くいます。少しでも自分の権利を守るために、事故後早期に弁護士へ相談することをおすすめします。
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